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    2014/01/30(木) 19:43:22 ID:tlevgQx.O
    「雷電」は十四試局地戦闘機。
    折しもアメリカ軍の四発重爆撃機ボーイングB-29による日本本土爆撃の脅威が迫っていましたから、これに対する対抗手段を模索していたのは当然の流れではありました。
    しかしエンジン技術分野で弱かった日本には強力で小型な戦闘機用エンジンに適当なものがなく苦肉の策として爆撃機用の大型エンジンを採用したため、それに伴い開発は難航を極め長引きました。
    その努力の成果もあってか戦後アメリカ軍にテストされた「雷電」への評価はかなり高いものでした。
    大型とはいえ出力の高い爆撃機用エンジン(1800馬力級エンジン火星)を搭載し空力的に洗練された紡錘形の胴体に四枚羽のプロペラ、通常翼と層流翼を絶妙にミックスさせた主翼(内翼側のみ層流翼としていた)を持っていましたからアメリカ製戦闘機お得意の一撃離脱戦法も問題なく行えて日本戦闘機お得意の巴戦にも強いという戦闘機に仕上がっていたからでした。
    但し問題は艦上戦闘機としてではなく局地戦闘機として開発されていたため航続距離も短く(短いとはいっても増槽付きでは2520kmは飛べだ)離着陸特性も零戦のようには良くなかったので零戦の後継機には成り得ませんでした。
    局地戦闘機「雷電」の現存機は戦時中フィリピンで滷獲されたものがアメリカのプレーンズオブフェイム博物館に屋内展示されています。たぶんこれが唯一の現存機だと思います。


    模型による局地戦闘機「雷電」の三面画像とプレーンズオブフェイム博物館にある局地戦闘機「雷電」の画像を貼ります。


    「烈風」の開発もエンジン開発(戦闘機用小型高出力エンジン誉)の不調から難航しました。
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  • 162
    2014/01/30(木) 20:11:44 ID:tlevgQx.O
    画像で見る外見からもお分かりの通り「雷電」は戦闘機用には不向きな大きいサイズの爆撃機用エンジンを使うしかなかった関係上、機体設計に相当な苦労を強いられました。
    その姿を見れば苦労がヒシヒシと伝わって来ます。
    エンジンの前には延長軸を設け、その前には冷却空気を強制的に取り込むための強制冷却ファンを配置し、そのまた前に幅広ブレードの四枚羽プロペラが配置され、それら強制冷却ファンまでを外板で覆い紡錘形に絞り込んでありました。
    大きいサイズのエンジン搭載でもどうにかして空気抵抗を減らそうと努力した結果でした。
    翼は前述した通り内翼側を高速が出し易い層流翼断面として外翼側は通常翼断面として高性能化を図っていました。
    もちろん捩り下げの技術も使われていました。
    高速も出せて小回りも利きアメリカ軍が手強い相手だと思ったのも無理もない話でした。
    アメリカ側では零戦や雷電などの日本製の軍用機を滷獲して徹底的に調査していましたが捩り下げの技術については判らずに居ました。
    この妙技をアメリカがやっと理解出来たのは戦後になってからの話です。
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  • 163
    2014/01/30(木) 21:32:03 ID:tlevgQx.O
    アメリカ軍側でテストされた雷電は高い評価を受けており、日本側で問題になっていた悪い点はアメリカ軍側ではさして問題とされず、当時の我が軍のどの戦闘機でも対戦したら互角か又は負ける可能性が高いとして雷電に対し好評価を与えていました。
    日本側での雷電に対する評価はあまり良いものがなく苦労して開発された割には劣等生扱いでした。
    当時の日本では零戦が何の任務でもそつなくこなす、あまりにも優等生的な存在だったために新型機を開発する際は何でも零戦の性能が基準となっており、零戦より速いとか、零戦より小回りが利かないとか、という表現で何でも零戦の性能との比較が基準とされていました。
    軽戦の代表選手たる零戦に慣れ親しんだ者が大半だったため重戦に分類される雷電はそれだけでも敬遠されました。
    エンジン延長軸系から来る振動問題、直径が大きい胴体やファストバック形式の風防から来る視界の悪さ、長い離陸距離や速過ぎる着陸速度など、零戦と比較すると悪い評価のオンパレードで努力の割に不遇な新型戦闘機でした。
    しかしアメリカ人にはこれらの問題点は全く問題視されなかったことを見ると当時の日本側はかなり神経質な評価を下していたために有能な戦闘機を持っていながら有効に活用出来なかったという結論になりそうです。
    太平洋戦争終結時に日本を占領したアメリカ軍がアメリカ本国に向けて送ったリポートの内容と重なる気がします。
    そのリポートの内容には「日本には優れた人材、優れた技術があり、優れた物も作り出せる状況にありながらも、それを十分に有効活用することに失敗した結果がここにある。惜しいことだ。」とありました。
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  • 164
    2014/01/30(木) 23:25:11 ID:tlevgQx.O
    海軍の三菱製「雷電」と陸軍の中島製「鍾馗」を比較した写真。
    連合軍によるテスト飛行のひと駒で三菱「雷電」とアメリカ海軍艦上戦闘機グラマン「F-6Fヘルキャット」、イギリス軍のスーパーマーリン・スピットファイア戦闘機が同時に飛行している写真。
    を貼ります。


    一枚目の写真を見ると入手出来る大馬力エンジンは大きなサイズの爆撃機用エンジンしかないという同じく苦しい環境下の同じ日本にあって同じく大変な苦労を強いられたこの二機種。
    海軍の三菱製「雷電」と同じく陸軍の中島製「鍾馗」も良く出来た優秀な戦闘機でしたがテストしたアメリカ軍側からの評価は高く日本側では劣等生扱いでした。
    しかし同じような環境で同じような冷遇を受けながらも両機の側面写真を見ると三菱と中島のそれぞれ個性の違いが際立って目立ちます。
    二枚目の写真を見ると同じく大きなサイズのエンジンを搭載しデブな機体を作っても日本機とアメリカ機の出来上がりの違いが明瞭に判ります。
    国民性の相違なのでしょうか、同じデブ戦闘機でも日本機の場合は身の引き締まったデブマッチョです。
    日本機の場合は一心に磨き上げるように造り込むような日本人の性格が表れているようです。
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